「真咲映像財団の発足にあたって」

一般財団法人真咲映像財団

            名誉会長 梶 明彦

 

 真咲映像財団の発足、誠におめでとうございます。真咲なおこさんは、今思えば時代の10年、20年先を見据えていた方でした「インターネット」という言葉が未だ世の中に十分理解されていない時代に、真咲さんはJALの営業責任者だった私に「JALテレビ」という名称のインターネット動画発信を提案してこられたのです。私は、ためらうことなくこのアイデアに飛びつきました。しかし、正直を言うと、内心では一企業が「テレビ」という名前で世の中に発信をする、そんなことが可能なのだろうかという不安も感じていました。ところが、真咲さんは、単に先進的イノベーションの人であるのみならず、優れた実行の人でもありました。すぐにJALビルの25階に、全くの手作りでインターネット発信のためのスタジオが出来上がりました。

 

 しかも、真咲さんは既にNTTとの話も纏め上げており、発信のための実験回線はNTTによって用意されていたのです。20015月、私は真咲さんの敷いたレールに乗って、NTTの鈴木取締役(当時)と共に「JALテレビ」発表の記者会見に臨みました。今、私の机の横には、後年この企画が特許庁に認められた「特許証書」のコピーが飾ってあります。真咲さんのアイデアはまさに特許に値するものであったわけです。

 

 2015年、大変残念なことに真咲さんは突然に我々の前から旅立って逝かれました。今、その真咲さんの偉大な業績が、真咲さんの名を冠した財団として継承されていくことは私の大きな喜びであります。奇しくも、財団の活動が、真咲さんと同じJAL客室乗務員出身の詩麻絢子さんによって進められていくことは二重の喜びでもあります。財団が、詩麻さんを中心とする皆さんの熱意により、今後も絶えず時代の先を見据え、映像の発信を通じて日本の発展に寄与していくことを私は確信しております。